ロボットの虫

爆笑問題のニッポンの教養 2009年2月24日放送分 「ロボットの虫」を見た。 

http://www.nhk.or.jp/bakumon/previous/20090224.html

ロボット工学のパイオニア、三浦宏文。彼がロボットの世界に身を投じた1970年代後半は、産業ロボットの全盛期。しかし、三浦は、独自のロボット開発に没頭する。それは「人間らしい動き」をする人型ロボットだった。
そして三浦は、今から26年前、世界で初めて動的二足歩行ロボットを発表、世界を驚かせた。さらに「けん玉ロボット」や「コマ回しロボット」などを次々と開発、人型ロボットの権威として学界をリードしてきた。
しかし、やがて三浦は、人型ロボット作りに限界を感じるようになる。「しょせん人間のプログラム通りにしか動かない」。そんな折、ゴキブリが人間に見つからないように餌にありつこうとする姿を目撃。三浦は、ゴキブリの動きに、それまで手がけてきた人型ロボットにはない強い「意志」を感じ取ったという。以降、三浦は、さまざまな昆虫を規範にしたロボットを研究開発。昆虫ロボットの可能性を追求している。
人間には遠く及ばない数億年にわたる進化を遂げてきた昆虫。単純だが効率を極めたそのカラダの仕組みに学ぶことは多いと語る三浦が、爆笑問題とともに、ロボットの未来について語り合う。
爆笑問題のニッポンの教養 過去放送記録』より

人工知能ロボットを開発するにあたって、三浦宏文先生の昆虫に関心を持った過程がとても面白かった。先生が学生たちと、意志を持ったロボット(人工知能)開発について酒を飲みながら議論している時、ゴキブリを見たそうな。人に見つからないように現れ、人が近づいてこうものなら、恐怖から?たちまち冷蔵庫の下に逃げ込んでしまう。そして、冷蔵庫の下から、触角を動かして様子を伺っている様は、まるで意志を持っているかのようなだったという。

でもよく観察すると、実はゴキブリには尻尾に空気流センサーがあって、センサーが空気の流れをキャッチすると、筋肉が全速力で動くという設計になってるだけであった。

結局、ゴキブリには意志がないと結論したが*1、「意志があるように見えた」というのが、先生が昆虫に見た人工知能開発のヒントそのものであった。

『意志があるロボット』の開発ではなく、『意志があるように見えるロボット』の開発という人工知能開発の根本的思想の転換である。私もこの考え方であれば、人工知能に可能性を感じる。なぜなら、昆虫や動物に限らず、本人以外の人間であっても、本人にとっては意志があるように動いているだけの存在なのだから。人間とその他の生物に安易に線を引いちゃいけないということですな。

*1:もちろん意志があるかないかは本人(人ではないが)しか分からないが