『ものぐさ精神分析』勝手に技術編
戦後、日本の自動車産業・メーカ産業などは、興隆を極めた。瞬く間に世界のトップに躍り出た。世界中の多くの人が、高品質の日本製品を欲しがるようになった。世界中の多くの人が日本製品に求めたものは、日本の技術力だ。
世界基準で評価される日本企業
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20090219/1023899/
すごい大雑把な感想だけど、全体的な傾向として、日本企業はレッドオーシャンの中にこれからの自分たちの未来を描いているように思える。一方、欧米の一部の企業の中には、ブルーオーシャンを開拓し、私たちの生活スタイルを抜本的に変えるような製品を開発し、そこに自分たち未来を描いているような企業が多いように感じる*1
なぜ、日本がこのような技術開発にどっぷり浸かってしまったのか*2、『ものぐさ精神分析』風に考えてみる。
中世から近世にかけて、日本は世界的に見ても極めてAdvanceな姿を持っていた。当時世界最大といわれる江戸の街が機能していたのは、世界的に見ても例外的に社会システムが優れていたからだ。しかし、ヨーロッパから入ってくる、産業革命から発生していた個々の技術があまりにも圧倒的であったために、日本は自信喪失に陥ってしまった。日本は、社会システムはすごかったが、個々のテクノロジーは極めてプリミティブであった。日本がちゃんばらしている時、欧米では、石炭や石油を使ったり、大砲をぶっ放した戦争とかをしていた。
社会システムは一般的なテクノロジーと比べるととても目に見えにくく、比べにくく、量として示しにくい。ゆえに、ヨーロッパのテクノロジーに相対した時、日本は自分たちの精神性を確認することができなくなってしまった。そこで、まずは、目方で測れるものに一気に走ることにした。というか、そうでもしないと、植民地にされる恐れがあった。それが日本の明治以降だ。
そして戦後、日本は技術大国と言われるまでになった。動力は明治以来の欧米コンプレックスだ。実際、技術はとっくに欧米を追い抜いてしまっているにもかかわらず、未だに欧米のほうが進んでいるといった感覚から逃れられてない。欧米の生活のほうが豊かに見える。
なぜ欧米の生活のほうが豊かに見えるのか。ひとつには資源の問題があるだろう。なんだかんだ、日本は地下資源に極めて乏しくて、土地もない。もうひとつは、社会システムだ。これは、完全に日本が遅れをとっている。日本が技術革新に邁進している間に、欧米では社会システムに力点をおいていた。
しょっちゅう故障する欧米車に、ぶーぶー良いながらも乗る暮らしと、10万km乗っても故障しない日本車に乗っているけども、2・3万km走って、モデルチェンジの度に買い換える暮らしと、どっちが豊かなのか。
世界に対して日本が示せるものもあるような気がする*3。単に江戸に戻ればよいという話ではない。
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