僕が見たマルチ商法

マルチについての日記を見つけたので、それに反応して自分のマルチ体験を書いてみる。

http://machine.livedoor.biz/archives/51174400.html

マルチの説明のところだけ抜粋させてもらう。

◆マルチとは何か
マルチは、もうほとんどご存じの方も多いだろうが、

・まず自分が商品を買う・入会する
・友達を勧誘する。友達が商品を買ってくれれば、自分にお金が入る。
・勧誘された友達が、さらに誰かを勧誘する。そのお金も自分に入ったりする。

つまり、
一言で言うと

「これまで作ってきた信頼と友情を、換金するシステム」

のことだ。


もちろん換金された信頼・友情は、「元締め」の方へ吸収されていき、
大多数のマルチ参加者は、最初に商品を買うときの借金とか(高額だったりする)で
悲惨にも「飛ぶ」―ドロップアウト―社会はもちろんマルチネットワークからすらも―してしまうのだけれど。


自分がマルチにはじめて触れたのは大学一回生の12月。同じ学科のちょっと話したことがある程度の同級生K君から「もりぞ君ってビリヤード得意なんだよね?俺も最近結構ビリヤードはまってるんだよね。今度一緒に行こうよ」と誘われた。


無邪気で暇だった僕は、「いいよ」と承諾。クリスマスイブの夕方に”ビリヤード”に行くことになった。


当日の夕方、大学から地元の繁華街まで電車でKと一緒に移動し、そこからタクシーに乗せられた。


もりぞ
「え?ビリヤード場なら、地元の繁華街にクサるほどあるじゃん!どこ行くの?」

K
「いいから、いいから・・・」


着いた先は、なぜか埠頭の倉庫。こんなところでビリヤードするところあるのかよ・・・タクシーに乗った時点でwktk終了してたけど、ネタになればいいかぐらいの気持ちで、倉庫の中に案内されてあげた。

300㎡ぐらいの薄暗い倉庫には、明らかに中古のビリヤード台とダーツボードが一台ずつと、こちらもきったねーソファーがローテーブルを囲んで4つ並んでいる。300㎡で備品がこれだけなんて、安く済ませすぎだ。

もりぞ
「ねぇ、ここの一時間の料金は?何でこんなところ知ってるの?」


K
「まぁ、いいじゃん、楽しければ!」



僕はおひとよしなので、とりあえずKとビリヤードをした。


しばらくすると、デスノートミサミサ容姿の女がビリヤードに加わった。
絶対にビリヤードなんかしたことのない女だった。


でも19歳にしてはひげの濃い子羊を楽しませるには、セクスィーでありさえすればよかった。


2時間位経過して、


K君
「楽しかったね。じゃ、ちょっと話があるから、そこのソファーに座といて」


ソファーに座ってしばらくすると、胸元がザックリと開いたスーツを着た、マルチ系男優(見た目は狩野英孝 )が登場。


僕の対面にマルチ系男優 、横にミサミサ、斜め前にKが座った。

マルチ系男優
「どうもはじめまして、私、なんちゃら会社のなんちゃら支部で偉いさんをやっている、マルチ系男優です」


もりぞう
「あは・・・」


マルチ系男優
「今日はどうやった?ビリヤード楽しかった?」


もりぞう
「まあまあです」


マルチ系男優
「そっか(笑)それはよかった。私たちはいつも好きな時間にビリヤードやりまくってるんだよ。いいでしょ!?なぜそんなことが可能かっていうと、うち(私たちの会社)にはそれを可能にするすっごいシステムなんだよ!」


もりぞう
「へ〜 すごいっすね」


マルチ系男優
「うちは会員制で、会員になると自由に遊べるんだけど、そのすごいシステムっていうのは、5人のお友達を連れてきて、そのお友達に会員になってもらうだけで、自分はタダで遊べちゃうっていうすっごいシステムなんだよ!すごくない?!」


ミサミサ
「すっごい!」


マルチ系男優がペンと紙をとりだして、説明しだす。


マルチ系男優
「まず、A君が入会金一万円(わりと良心的)で会員になったとするよね。そして、A君がB君、C君、D君、E君、F君を連れて来て、会員にさせたとすると、A君はそれ以後毎月無料で遊べちゃうんだよ。それでね、B君がまた、G君、H君・・・と誘っていけば、A君は無料で遊べるどころか、収入まで得ることができるんだよ!!」


最終的にそこの描かれたのは、ロジックのないツリーだった。


もりぞう
「どれぐらいの人を誘えば儲かるんですか ?」


マルチ系男優
「誘えば誘うほど儲かるよ!(答えになっていない)」


もりぞう
「なんか、話がよすぎるような・・・」


マルチ系男優
「実際、おいしい話だと思うよ。よく考えれば当たり前なんだけどね(笑)とりあえず、今日はお金も持っていないだろうから、1万円(入会金)で会員になってくれるだけでいいよ。」


ミサミサ
「1万円で、遊び放題とかすっごい!(入会金だけでは遊び放題ではない)」


もりぞう
「いや〜 でも・・・」


結局、僕の財布の綱引きが2時間も続いた。


あ〜 はやくこの場から解放されたい。何で、イブに俺はこんな倉庫にいるんだ・・・
なにより、俺を騙してこんな所まで連れてきやがったKをどうにかしたい。


Kの方をチラッと見る。固唾を呑んで見守っていたKが、頷きやがった。


マルチ系男優
「ある程度初期投資はあるいるけど、そこはもりぞう君のがんばり(勧誘)次第で、すぐに元は取れるよ」


もりぞう
「とにかく、今すぐに決断はできません。お金もないですし。なんと言われようと今日は払う気がありません」


すると、マルチ系男優とミサミサの態度がころっと変わった。


マルチ系男優「じゃ、わかった。また今度遊びに来て、その時にお金を払ってくれたら良いから!(切れ気味で)」


1分後には倉庫の外にいた。


ようやく解放されたものの、こんな夜の埠頭にタクシーなんか通るわけないし、走って三宮まで行くことにした。後ろから撃たれるんじゃないかと思ったから。


こんな暗い倉庫地域で撃たれても、絶対誰も気づかない、そして海に捨てられる。




後日、学科の他の友人に、このことを話したら、「俺も倉庫まで連れて行かれた」という奴がいた。


「まじで!」


「うん。すごい怪しかったので、俺は断ったよ。で、Kから他に勧誘できそうな奴いない?って聞かれたので、もりぞうを紹介しておいたよ」
  


さらに後日、ニュースで『のネズミ講集団摘発』と放送され、もらった名刺を見たら、放送にあった名前と同じ会社だった。



体験談終了

【教訓】

マルチに誘われたら断りましょう。なぜなら、自分が始点にならないと儲からないからです。また、マルチだと気付く知能があれば、連鎖を止めましょう。不幸は連鎖します。



マルチをやる奴

・十分にバカ
・ウソをつく
・自分がマルチだと気付いてない


マルチをやる奴の最期
・金をなくす
・友人をなくす
・時間を亡くす
・そして、そのことにも気付かない



読んでないけど、お薦め文献

次代を担うネットワークビジネス
http://www.amazon.co.jp/dp/4902222450

前田雄吉という馬鹿な民主党の議員が書いたマルチ擁護の本



あわせて読みたい

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http://www.amazon.co.jp//dp/4101050201/ref=pd_sim_b_2

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